船場アートカフェ
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2010年12月のアーカイブ

Coco-A vol.4 TANGRAM LANDSCAPE タングラムランドスケープ

Coco-A vol.4 

TANGRAM LANDSCAPE タングラムランドスケープ

実施期間:2007年1月21日~2007年2月18日

場所:大阪市立大学医学部附属病院小児科外来・改修工事用防壁

材料:カッティングシート

 『本企画は、大阪市立大学医学部附属病院の庶務課施設管理係×発達小児医学教室×船場アートカフェ(大阪市立大学都市研究プラザ)による共同試験プロジェクトです。大学病院の長い待ち時間を、小児患者さまおよびご家族に快適に過ごしていただこうと考案されたものです。』

大阪市立大学医学部附属病院(以下、市大病院)では、2000年から小児病棟を中心に、そして2003年からは病院組織全体が協力し合って「アートプロジェクト」という事業を支援していました。「アートプロジェクト」とは、知る人ぞ知る!市大病院の名物事業。アートといっても絵画や彫刻がたくさん飾ってあるわけではありません。病院だからといってアートセラピーでもありません。「アートプロジェクト」は参加型の芸術活動。あえていうなら“まちづくり”。パートナーであるプロの芸術家達と一緒に、患者さまやご家族、医療者も事務職員もみんなで楽しんで元気になる病院づくり運動なのです。

これまでにも関西だけでなく関東、そして遠くイタリアから若手を中心に数十名の芸術家がプロジェクトに参加。プロジェクトは長期入院が多い小児病棟や一部の成人病棟などでワークショップを実施するところから始まります。ワークショップは、のべ日数にして年間20~50日実施されており、この数字はおそらく日本一です。ワークショップを通じて参加者から生まれた作品群は、外来の展覧会で入院・外来患者さま・ご家族の皆さまはじめ病院中の職員に披露されます。独特な展示作品に、皆、ときにビックリ!楽しく、ときに癒され、ときにしんみり、ときに勇気づけられてきました。「入院して、もうかった!」といってくれる子ども、「待ち時間長くてよかったわ~」という保護者の方、「車いす生活で外にでられへんから(展示を見られて)うれしい。」と仲のよいご夫婦、もちろん病院職員も「いつものアート、次は何やるの?」と興味津々。こんな風に、市大病院では「アートは、退屈な日常をステキな風景に変身させる魔法の万華鏡!」という認識が、ひそかに広がっていたのでした。

今回のプロジェクト「TANGRAM LANDSCAPEタングラムランドスケープ」も、そんな名物プロジェクトの一環。2006年の12月のある日、小児科外来の改修工事を計画していた一人の施設管理係長は、ふと考えました。「工事の防壁って、白くて、大きくて、このままじゃつまんない。」彼が相談したのは小児科外来の外来医長。二人は「工事の防壁って、白くて、大きくて、だからアートで、なんかできそう!」と思いつきました。というわけで、その話が同じ大阪市立大学の船場アートカフェ(都市研究プラザ)に持ちかけられ、アーティストの花村さんに白羽の矢が立てられたのが、なんと忘年会の席。プロジェクトは超多忙な花村さんの年末年始を過酷に略奪しながら、順調に(?)滑り出したのでした。  

工事の開始は1月の半ば。年明けてすぐの施設管理係職員とのミーティングで花村さんの壮大な企画が披露されました。壁一杯に陸と海と空を描き、それをカンバスに子ども達が自由に空想の世界の物語を上描きして、日々、刻々と、共同制作が進行していく「タングラムランドスケープ」です。

タングラムとは、中国で生まれた図形パズルで7つの決まった形を組み合わせてさまざまな形を生み出すことができるもの。フランス皇帝ナポレオンや『不思議の国のアリス』の作者ルイスキャロルも夢中になったパズルだそうです。今回の企画では、カッティングシートで10色のタングラム・シールを用意して、人・物・生物を創り出していきます。お手本の形だけでも100種類以上!カッティングシートでできた空想の海や陸や空の上で、約3週間の工事期間中にどんな新しい形や物語が生まれていくのか・・・病院職員達はワクワクしました。

 

設営は、病院の外来業務のない土曜日に実施。花村さんの指揮下、船場アートカフェの事務局長はじめ施設管理係の係長他、医学生やボランティアが協力し合い、10時間以上にわたって作業しました。大きなカッティングシートを使って海や陸のカーブを表現し、真っ青な空を作るためにシワができないようシートを貼る作業は、予想以上に重労働。2~3人ずつ組になって高いところから低いところまで、まんべんなく、美しく貼らなくてはなりません。

 

10色のタングラムのカラーシールも、子ども達の手が届きやすい高さに設置しました。最後に「タングラムランドスケープ」のロゴを作ってできあがりです。

 

無機質な病院の待合室に、突如あらわれた真っ青な空と海!子ども達の驚く様子にほくそ笑みながら、月曜日の外来へ。ところが子ども達の反応は我々の予想を大きく裏切るほどエネルギッシュで爆発的でした。タングラムのルールがわからない小さな子どもは、色や形を思いのまま貼り合わせたり、重ねたりと一心不乱に楽しんでいました。診察が終わって帰らなければならない時間になると、「シール、持って帰ってもいい?」となごり惜し気にたずねてきました。大きな子どもは大人が手本をすすめても「初めから答えがわかっていたら、面白くない!」と拒否。新しい形を生み出そうと壁の前で頭をひねっていました。また、小さな子どもが手の届く高さを避けて、高いところや難しいところに描いていました。友達同士で物語を作りながらキャラクターを配置している子ども達もいました。

 

およそ3週間の工事期間中、さまざまな形、色、生き物、乗り物、人々が増殖して、小児科外来では賑やかで豊かな物語のハーモニーが響き続けました。

 

2月のある日、あらわれた時と同じようにタングラムの壁は、突然姿を消してしまいました。けれど壁の消えた後に出現した新しい小児科外来診察室の壁には、なんとカラフルなタングラムが!病院のボランティアグループが「タングラムランドスケープ」の企画を見て、マグネットシートで作ってくれたのです。子ども達は大喜び。今でも小児科外来の診察室の壁の前には、子ども達が待合い時間中にタングラムに熱中している姿があります。大きな空や海はないけれど、きっと子ども達にはそれぞれの物語の世界が見えているに違いありません。

 

「病院は、楽しく遊ぶところ!」子ども達は、大人達がしばられている病院の既成概念を軽々とひっくり返してしまいました。「タングラムランドスケープ」は、アーティスト花村さんの考えた巧妙な仕掛けと子ども達の伸びやかな発想力、そしてたとえアーティストでなくても頑張る職員達の知恵が出会えば、世の中を変えることができるかもしれない・・・そんな勇気を感じさせてくれる企画でした。市大病院は、またもや、子どもたちから大きな宝物をもらうことが出来たのです。

(山口悦子)

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「終わらない絵本」

病院で診察を待っている時間はいつもよりも長く感じられる。受付を済ませてから診察までの時間は長い時で2時間ぐらいになることがあるらしい。待合室のベンチに座りながら、白い壁をぼぉーっと眺めているだけの時間は子供にとっては特に苦痛だと思う。小児科の待合室には、子供が読めるように絵本が置いてある事が多いが、何度も通院していると一通りそこにある物語を読み終えてしまって、すぐにまた待っているだけのつまらない時間がやってくるのだ。

そんなことを考えていると、読むたびにお話が変わる絵本があればいいのになどと思ってしまう。いや、それよりも絵本そのものを自分で作っていければいいのにと思う。どんな登場人物が出てくるのか。そしてそれは誰とどこで出会うのか。診察を待つひとときに妄想を膨らませ、物語を作る。次の週にやってきた時に、そのお話が少し変化しているのに気づく。先週書いた物語は他の誰かが新しい登場人物を加え、新しい物語が生まれている。そうしてどんどん新しい登場人物やお話が書き加えられて行くことで、物語は果てしなく続いていくのだ。

そんな絵本があればいいなと思う。そしてそんな物語が絵巻物のようにずらっと広がる風景を見てみたい。だから病院の壁を「絵本」に変えることを考えたのだ。この作品は完成がなく、ずっと書き加えられ変化し続けるプロセスを表現したかった。ワークインプログレスなどとアートの世界で言われる事があるが、物語や風景はもともとそんなものなのではないだろうかと思っている。

そしてこの風景では絵の上手さは問題にならないようにしたかった。絵が苦手な子でも、参加してお話を作る事が出来る世界。しかもその登場人物は他の登場人物と何かの関係を持っていて、一つの世界観を持った風景が生まれる。そのためには何かのユニットを組み合わせて形を作ることが出来ないかと考えた。

(花村周寛)

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<企画実施体制>

アーティスト:花村周寛(船場アートカフェ)

ナビゲーター:山口悦子(船場アートカフェ・ディレクター)

企画:大阪市立大学医学部附属病院・運営本部庶務課施設管理係(平井祐範、石川慶二)   

大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学(服部英司)   

大阪市立大学船場アートカフェ(都市研究プラザ)(高岡伸一)

協力:大阪市立大学医学部附属病院・良質(QC)医療委員会(ボランティアWG)(巽花子)

作業協力:長谷川みづほ(アートマネージャー)・岡崎久宜・大岡・砂川諒子・高羅愛弓(大阪市立大学医学部ベッドサイドボランティア)

************************************************************************************************************** ―花村周寛(はなむら・ちかひろ)profile―

1976年大阪府生まれ。大阪府立大学生命科学研究科緑地環境計画工学修了。ランドスケープデザイナー。京都造形芸術大学非常勤講師。2005年より大阪大学コミュニケーションデザインセンター(CSCD)特任教員。都市デザインや空間デザインといった従来までのランドスケープデザインの領域をベースにしつつ、「風景」というキーワードで建築やプロダクトのデザイン、映像やグラフィック、映画や音楽、アートなどジャンルを超えた表現活動に取り組む。大学ではアートをベースにしたコミュニケーションデザインの研究と教育に携わる。2005年より船場アートカフェに参加。著書「マゾヒスティック・ランドスケープ」。

アーツマネジメント講座/レオニー・バウマン氏 レクチャー in 大阪

寒い日が続きますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか?

船場アートカフェでは、12月20日(月)にレクチャーを開催いたします。
題して「アーツマネジメント講座/レオニー・バウマン氏 レクチャー in 大阪」。

アートと社会問題の融合・市民主体の組織運営というユニークな実践で知られるアートNPO、NGBK(Neue Gesellschaft für bildende Kunst e.V)のディレクターであるレオニー・バウマン氏から、市民協働型のアートマネジメントについて講演していただきます。

ベルリンのコンテンポラリーアート・シーンで極めて重要な役割を果たしているNGBKのお話をうかがう大変貴重な機会ですので、ぜひご参加ください!(参加無料)

チラシ(pdfファイル)はこちらからご覧ください。

NGBKのサイトはこちら(ドイツ語/英語対応)。

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アーツマネジメント講座
レオニー・バウマン氏 レクチャー in 大阪
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■■■ベルリンのコンテンポラリーアート・シーンで40年以上にわたって市民協働を実践してきたNGBKのマネジメントを学ぶ■■■

バウマン氏がディレクターを務めるNGBK(Neue Gesellschaft für bildende Kunst e.V/1969年〜)は、現在850名の会員を擁するアートNPO(Kunstvereine)です。NGBKが特徴的なのは、会員なら誰でも展覧会やワークショップの企画を立案できるということです。会員は自分が実現させたい企画をプレゼンテーションし、多数決で決定がなされ、選ばれた企画は会員のワーキンググループによって実現されます。

また、アートと社会問題の融合をテーマに掲げている点でも先駆的です。
これまでセクシュアリティ、移民問題、フェミニズム、人種差別、HIV、失業といった、様々な社会問題を題材とした展覧会が生み出されてきました。

専門家としてのキュレーターやディレクター主導ではない、会員主体の運営を設立当初から実践しつつ、社会的課題にアートの側面からアプローチする現代的かつ質の高い企画で国内外の評価も高く、また有用な人材を多く輩出するなど、ベルリンのコンテンポラリーアート・シーンでは重要な役割を果たしています。

市民主体の組織運営とクオリティの確保、その2つを長年にわたって実現してきたNGBKのアーツマネジメント技術や組織運営について、20年以上にわたって運営に携わってこられたマネジメント・ディレクターのバウマン氏にお話しいただきます(通訳つき)。

■日 時:2010年12月20日(月)19:00〜21:00
■会 場:船場アートカフェ
大阪市中央区久太郎町 3-2-15 三休橋エクセルビル北館 B1F
■参加無料、当日先着順受付(定員25名)
■日本語通訳つき

■主 催:船場アートカフェ(大阪市立大学 都市研究プラザ)
■協 力:せんだいメディアテーク

■レオニー・バウマン(Leonie Baumann)
NGBK(新美術協会)ディレクター。教育学・社会学を学んだ後、オスナブリュック市と大学を結ぶコーディネーション事務所所長、ベルリンKunst am Bau(公共彫刻)プレスオフィスの長官兼編集長を経て1991年より現職。ドイツのアートNPO(Kunstvereine)統括組織の会長、ニーダーザクセン州の芸術機関NPO の義援金配分委員会(Vergabebeirat)会長、ベルリン芸術機関(Rat für die Künste)広報担当官も務める他、著書や講師、審査員としても活動中。

船場アートカフェは、大阪市立大学・都市研究プラザが都心で展開する研究・実践の試みです。

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